原価率が低い商品(SALE ・アウトレット)を買うと得すると思っている人がたくさんいるのでその誤解を解きたいと思います。
原価率の考え方は人によって違いますが私は
原価率の低い洋服を買っても損してる可能性がある
と言う立場を取っています。その理由を解説していきます。
- 洋服の原価について知りたい人
- 原価の低い商品(セール、アウトレット)でいつも買っている人
- 洋服の原価と価格に不信感を持っている人
目次
原価率ってなあに?




まずは原価率をばっくり理解しよう。
原価率の計算は簡単ですが、計算式を見るだけで無理って言う人もいるので難しい人は読み飛ばしてもらってもOKです。
ばっくり原価率のイメージだけ掴みましょう。
- 原価率が高い=お店の儲けが少ない。
- 原価率が低い=お店の儲けが多い。
これだけ理解できたらOKです。
もし、余裕があればこの式を覚えてください。
- 原価=商品を作るのにかかったお金
- 利益=販売価格から原価を引いたお金
- 原価率(10%)=原価(1000円)÷販売価格(10,000円)



単純に原価率ってこんなイメージっすか?
- 原価率が低い=お店がぼったくってる
- 原価率が高い=お店が良心的
原価率が高いブランドで商品を買ったら損をするって事っすね?



いや、全然違うよ。
おさるさんのように原価率だけで判断するとそんな風に感じてしまうし、実際そう言う人が多いんだ。
それこそが、原価率だけで商品を買う人が損するという真相だよ。
原価だけで商品を判断してる人って結構いるんですよね。
小売りをやっていると、よくわかるんですが、セールの時だけくるお客さんやアウトレットだけで買う人とかって一定人数必ずいます。
その原価率に目をつけたのが、TOKYO BASEです。



TOKYO BASEのメインブランド
TOKYO BASEが強みにしている事
- オリジナル商品が原価率50%
- オリジナル商品がMADE IN JAPAN
ばっくり説明するとこんな会社です。
この原価率50%ってアパレルで考えるとめちゃくちゃ高いです。
つまり、企業側の利益が少なめって事です。
原価だけで考えると良心的な会社にみえますが、原価率だけで安く買えるからいい企業という結論は早過ぎます。
このあたりをプロのデザイナー目線で解説します。
原価率が50%って特なの?



図1は原価率50%のTOKYO BASEの製品のイメージです。
もう一度整理すると原価率50%は製品に利益をあまりのせていないのでお客様が製品を安く買えるイメージです。
それ自体は間違っていません。では何が問題なのでしょうか?
それは、そもそもその原価って適正なの?って事です。
MADE IN JAPANで在庫を少なめに作った商品の原価が
5000円だったとします。
原価5,000円 原価率50% 価格10,000円
一方で原価を安くする為に大量生産で生地から作り込んで同じクオリティーの製品の原価が1000円で作れたとします。
原価1,000円 原価率10% 価格10,000円
こうして解説するとわかるのですが、そもそも原価が高いのに原価率が低いか高いかって議論自体無意味です。
50%の原価率だから商品の付加価値すごく無い?でも小ロットで国内生産してるから原価は高いけどね。って事まで伝えてないとダメですね。
これが原価率で買うと損をするかもしれないと言う根拠です。
5000円の原価を1000円にするのはさすがに無理がありますが、2500円なら現実的に可能です。



本当にそんなに原価って変わるもんなんすか?



作る人の知識で原価はかなり変わるぞ。
- どこの工場に、どこの生地を輸出するか?
- オリジナルで生地を作るか?
- 生地生産地と縫製生産地での税金、輸送コスト
- 縫製する時期
こう言う事を計算しながら商品を作っていくんだけこの知識があるかどうかで原価はマジで変わるんだ。
製品の原価が適正なのか?って事を考えずに原価率だけで判断するって。
それっておかしくないかい?
原価率が50%なら原価自体は価格の半分なのでその原価って適正かい?
自分ならもっと安く作れるな。って思ってしまうんですよね。
原価の変わらないセール商品は特なの?






そもそも原価が変わらなくて、販売価格だけが下がるSALE商品だったら、特っすか?



同じ商品と比べればもちろんSALE品は特するよ。
問題はその商品が本当に欲しかったのかどうかなんだ。
セールになる洋服には共通点があるので下記にまとめました。
- 実売時期が過ぎた季節商品
- デザインが失敗したり、着づらい商品
- 販売価格が高すぎた商品
- 在庫が沢山残っている
①販売時期が過ぎた商品や②デザインが失敗している商品をそもそも欲しいと思いますか?安くなっているから手を出す人もいますが、それが特なのかどうかは疑問です。
③販売価格が高過ぎた商品をセールになるまで待とうという考え方の人も多いです。このケースのリスクとして
- 自分の欲しかった商品の色、サイズの在庫がなくなった
- 着用期間がなくなってしまった
と言うものがあります。本当に欲しいと思ってるなら買っちまった方がいいです。
④在庫がたくさん残っている商品に関しては、自分で在庫が多いか判断できませんし知る事ができません。
こんな風に考えるとセール品で買う事が本当に得するのかどうかって言うのは別の問題だと言う事がわかると思います。
原価率が低くても満足度が高いメゾンブランド



この原価率の表でメゾンブランドをイメージしたのが右側です。
原価率が10%ってブランドは実際には無いと思いますが、メゾン系のブランドは原価率を低く設定しているブランドが多いです。
ボッタくろうとしているんじゃなくて、原価率を低く設定しているのはブランドイメージを保つ為にお金をまわしているからです。
かっこいい広告を作ったり、芸能人を使ったり、コレクションを毎シーズン発表したり。また、お店の内装などに力を入れらりします。
ブランドイメージを保つ為には莫大な費用がかかるんですね。



販売価格と原価だけの視点だと広告費や原価以外のコストの部分が見えてこないんだ。



ルイ・ヴィトン のようにヴァージル・アブローのような売れっ子デザイナーと契約したら原価がどうかよりもまずは、着てみたいし、着てたら間違いなく自慢出来るっす。
原価率が低かろうが買った人の満足度が高ければそれって正解じゃないですかね。
原価率が低い(お客が損する)ルイ・ヴィトンと
原価率の高い(企業が損する)無名ブランドで同じデザインの商品が売っていたとします。あなたはどっちが欲しいですか?
原価率で商品を判断する事が無意味だと言う事



ここまで原価率で商品を買うと損をしている可能性があると説明してきました。
一度ここでこの記事をまとめます。
- そもそも原価を抑えて作れているのか?
- セール品ばかり買いがちな人はセール品の特性を知って買っているか?
- メゾンブランドのように原価率の低い商品の方が満足する事がある。
商品を作っている立場からみた原価率の真相はこんな感じです。
こう言う事をわかっていれば原価率だけで商品を判断する事がいかに無謀な事だと言う事がわかるはずです。
また、原価率の裏側が分かってくるとプロパー商品を買う時の判断力もつきますし、セール品の買い方も上手になります。
てゆうか、そもそも原価が低いって宣伝している商品を着るのってださくない?
お前それ、原価率低い服じゃん。って言われるじゃんな。