お疲れ様です。
現役ファッションデザイナーのエースです。
この記事では僕がTシャツを作る時に意識している【カルチャー・歴史】についてまとめました。
商品の価値は大きく分けて、意味(カルチャー)と機能(品質)と2つに分けれて、今回は意味の価値について触れてみました。
これからTシャツをつくろうと思っている方の参考になれたら幸いです。

難しいことは抜きにしてさらっと書いたよ!
目次
ヨーローッパの海軍兵士の肌着を見たアメリカ兵が真似て作ったものが、Tシャツの原型と言われています。



Tシャツの誕生です!



- 1940年頃 Tシャツが一般化。
- シアーズ・ローバック社などのデパートが広めた。
- この頃のTシャツの役割は肌着。
兵士の軍服として生まれたTシャツは、その着心地から大衆の日常着となりました。
肌着といえばHANESですが、その歴史は古く1947年からすでにパックTを売っていたようです。



ちなみに、パックTを現代風したPRADAみたいなアイデアも参考になります。最高品質の肌着ですね。パックTは肌着との相性がバグツンです!



肌着のパックTは今でも使いますね。パックTはパッケージにこだわりたいね!



- ショップロゴをプリントして宣伝。
- モーターサイクル系に多い。
1950年代になるとTシャツは広告として役割を持ち始めます。シルクスクリーンの技術をTシャツに取り入れたショップTが誕生したのがこの頃です。特にモーターサイクルショップが多かったようです!



企業TやショップTをつくる場合はシルクスクリーンにこだわると雰囲気が出てきます。



Balenciaga(バレンシアガ)の企業ロゴT風のTシャツもしっかりとカルチャーを取り入れていて好きです。



プリントカラーは1色か2色。なるべくシンプルにすると広告らしい雰囲気がでるよ。



- 映画「乱暴者」の不良のスタイルを若者達が真似したよ
- Tシャツは反逆の象徴という役割を持ち出したよ
番外編ですが、Tシャツはヤンキーのアイデンティティーになった事もあります。
当時はエリ付きシャツを着ることが普通で、Tシャツを着るスタイリングは映画「乱暴者」の影響で不良が着るイメージが定着したからです。



ここは参考までに!



- 肌着からファッションに変化。
- サーフブランドのTシャツが生まれた。(ハンテンなど)
- 量販デパートが全米にサーフTを広めた。(シアーズ)
60年代〜70年代にかけてカリフォルニアからサーフTのカルチャーが広まりました。
おしゃれなグラフィックプリントが入ったTシャツはサーファー達のアイデンティティーをくすぐり、サーファー達はTシャツ1枚で出歩くようになり、大人のTシャツ姿は日常に溶け込みました。



サーフTはリラックスした雰囲気が一番!綿ポリの薄くて柔らかい天竺に派手なグラフィックを染み込みプリントで仕上げると雰囲気がグッと出てくるよ。



- ヒッピームーブメントでTシャツが自由の象徴へ。
- ヒッピーのライフスタイルへ。
- 音楽との強い結びつき。
70年代直前にアメリカではヒッピームーブメントが起きました。‘“政治体制に辟易した若者達”が求めたのは“Ffreedom!!”でした。
自由を求める若者は音楽やイメージをTシャツで表現しました。そんなTシャツは彼ら自身のようでもあり、自己表現でもありました。
Tシャツは自由の象徴として、アイデンティティーとしての役割を持つようになりました。
2019年〜2020年は70年代がトレンドになるとマーケットではタイダイプリントTやタイダイスウェットがトレンドになりました。






70年代がトレンドになるとTシャツはタイダイが増えるよね。タイダイ柄にも手法がいろいろあるからブランドに合わせた柄、色使い、素材選びが重要になるね。



- Vivian Westwoodの「Two Cowboys」の発表!
- Tシャツが持つメッセージ性の発見。
- 日常着のTシャツがコレクションの主役に!
Tシャツがライフスタイルやアイデンティティーを表現するようになるとTシャツには思想を表現する機能がある事がわかってきました。
そのメッセージ性に注目した英国デザイナーがVivianWestwood (ヴィヴィアンウェストウッド)です。彼女が発表した「Two Cowboys 」はタブーを破る事で衝撃的なメッセージを世界に発信しました。



現代でもTシャツにメッセージを込めている印象があるデザイナーはラフ・シモンズかなと思います。毎シーズン何かしらの思いを込めたTシャツがある印象です。



メッセージ性のあるTシャツにはそのメッセージとデザインがぴったりはまるように作ってあげるといいです。ここで大事にしなくてはいけないのはカルチャーよりも



- 昔のTシャツの価値が見直された。
- カルチャーに価値が生まれた。
- 希少性に価値が生まれた。
90年代はヴィンテージに価値が生まれました。歴史が感じられるもの、大衆の生活がわかるものに対して価値が生まれたのが面白いポイントです。
一般的に物の価値と言えば高級素材のように品質面の事を指していました。
品質とは別にカルチャーに価値が生まれた事で、それまでゴミのように扱われていた古着ガレージはバイヤーの宝探しの場に変わっていったそうです。



ヴィンテージ風のTシャツをつくる時はその時代背景の技術と素材を調べるとうまくいきます。シルクスクリーンでつくるしかなかったショップTや、染み込みプリントで表現したサーフTのように技術を絞るとデザインに工夫が生まれます。
ヴィンテージTシャツの中でも人気のある5カテゴリーです。
- カレッジTEE
- ロックTEE
- 企業TEE
- スポーツ物
- バイク物



- ャリティーとしての役割が生まれた
- ファッションとメッセージが融合した。
この年代の代表作はMartin Margiela AIDS T-shirtでしょう。
このTシャツは今までのファッションとメッセージを融合させ、チャリティーと言う価値を創造しました。



他にもラルフローレンのピンクポニーなど、Tシャツとチャリティーとファッションは融合しています。



チャリティーTシャツは全ての要素が詰まっていると思います。



洋服の文化はエリートでお金持ちが作った世の中を動かしてきたメインストリームのカルチャーが多いんですよね。
一方、Tシャツに関しては逆です。カルチャーの主役はいつも大衆でむしろエリートに対する嫉妬や怒りを込めたカウンターカルチャーよりだったりします。
だからTシャツのカルチャーはおもしろいんですよね。
オリジナルでTシャツをつくる時はこのあたりの文化を活かしながらデザインすると意味が生まれてきます。



最後にサクッとおさらいしときましょう!
- 1920年代【軍服の役割】Tシャツ黎明期
- 1940年代【肌着の役割】
- 1950年代【広告の役割】ショップT
- 1953年位【不良の役割】
- 1960年代【ファッションの役割】サーフT
- 1970年代【自由の役割】ヒッピームーブメント
- 1980年代【メッセージの役割】Vivian Westwood
- 1990年代【カルチャー】ヴィンテージT
- 2000年代【チャリティーの役割】Martin Margiela
- Tシャツのまとめ!
今日はここまで!
お疲れ様でした。
Tシャツのカルチャーをもっともっと知りたい!!って人はこの本がおすすめ!!